写経、日経社説2017.7.6

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豊洲市場の運営に民間の知恵をいかせ
東京都の小池百合子知事は中央卸売市場である築地市場を、新設した豊洲市場に移す方針だ。
そこで重要なのは安全性の確保とともに、経営の合理化を徹底し、利便性の高い卸売市場にして活気を取り戻すことだ。
卸売市場におのずと全国から食品が集まる時代はすでに過去のものだ。
近代的な設備を整えるだけで右肩下がりの取引高が回復するほど現実は甘くない。
流通コストを下げたり、マーケティング力を強化したりして売り手である生産者や、買い手の小売りや外食店に選ばれる卸売市場に変えなければならない。
そのためには市場運営に民間の知恵を生かす必要がある。
豊洲市場が抱える課題は全国の中央卸売市場に共通する。
東京都だけで11、全国に64ある中央卸売市場はすべて自治体が開設し、運営している。
どの中央卸売市場も取引高は減少傾向にあり、市場の運営が苦しくなっている。
中央卸売市場の開設も、もはや自治体に限定すべきではない。
自治体が開設する場合でも、実際の運営は独立した組織が責任を持ってあたり、そこに経営やマーケティングのプロが参画すべきだ。
世界最大の卸売市場であるフランスのランジス国際卸売市場は、第3セクター方式で設立したセマリス社が運営する。
2015年の取扱高は89億ユーロ(約1兆千億円)と10年比で13%増え、卸売市場の運営ノウハウを中国などの新興国に売り込んでいる。
生産者の組合組織であるオランダのフローラホランドは国内の花き市場を統合。
アフリカなどからも花きを輸入し、再び各国へ輸出するハブ機能を強化して成功している。
日本も旧態依然とした発想を脱し、近隣のアジア市場を取り込む成長戦略を考えるべきだ。
卸売市場の運営も企業経営と同じだ。
中長期の成長戦略を描き、問題点があれば修正し、経営目標の達成に責任を持つ体制が要る。
政府は卸売市場を縛る卸売市場法を抜本的に見直す。
合理的な理由のない規制はすべてなくす考えだ。
この規制改革をとらえ、合理的で使い勝手のいい卸売市場に改善しなければ存在価値を失う。
急拡大するインターネット取引に食品の流通を奪われるのではなく、仕入れの場などとして利用してもらえる卸売市場に変えなければならない。
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違法な再生医療排除へ全力を
厚生労働省は、違法な治療を実施したとして11の医療機関の再生医療の停止を命じた。
他人のへその緒などの臍帯血(さいたいけつ)を使っていた。
氷山の一角にすぎないとみられ、同省は違法行為の一掃へ全力をあげてほしい。
再生医療をうたうクリニックなどは数百あるとされる。
美容や抗加齢の目的で細胞を移植するが、実態はよくわからず安全性も確認されていない。
自由診療で、治療費は百万円と超える場合も多い。
再生医療の提供機関は、厚労省の認めた委員会で安全性や倫理面の審査を受けたうえで、同省に届け出るよう法律で義務付けられている。
他人の細胞を使う今回のような治療はリスクが大きいため規制が最も厳しく、同省は計画の変更を命じることもできる。
11機関は届け出をしていなかった。
被害の報告はないが、後から健康に影響が出る心配もある。
さらに問題なのは、これらのうち5機関で日本再生医療学会の会員が治療などに関わっていたことだ。
患者にとって、受診機関に同学会の会員がいることは信頼の一つの根拠になったのではないか。
学会は「性善説」に立って会員を増やしてきたというが、資格要件の厳格化も一考に値する。
学会には認定医制度があり、法規制や技術に関する試験に合格した認定医は約600人いる。
再生医療の看板を掲げるクリニックで、認定医がいるか確認するのも患者にとっての自衛策になろう。
今回、違法行為が判明した医療機関は経営破綻した民間バンクから流出した臍帯血を使ったとみられている。
国内には細胞バンクが多数あるが、経営破綻時の扱いは決めていない場合がほとんどだ。
品質劣化などの懸念があり、国による規制も検討課題だ。
臍帯血や脂肪からは様々な細胞のもとになる幹細胞が得られる。
難病治療などに使うため、法律に基づく厳格な審査を経て安全性を確かめる臨床研究の計画もある。
これらは違法治療と明確に切り分けて推進すべきだ。
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by cwhihyou | 2017-07-06 11:10 | Comments(0)
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