2017年 06月 15日
資本主義もそこそこもろい【俺の資本論】
しかし、理想の社員がいる会社が儲かるかというと、そんな単純な話ではない。
なぜなら、理想の社員が存在することで、生産性が落ちる可能性があるからである。
(続きはmoreに)
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社長は理想の社員に対し、高い給料と高い役職を与えてしまう。
ところが、そのような厚遇を受けた途端、この理想の社員はあたかも自分が社長のようにふるまうようになる。
高い地位を得ているから威張るのだが、彼の心理はもう少しグロテスクである。
順調な売上を叩き出すその人は、社長のため、会社のためと思って頑張っている。
だから、給料が上がった当初は、「え、自分なんかにいいんですか」と謙虚な気持ちになる。
しかし、次に高い地位が付与されると、「そうか、社長は俺の仕事っぷりを喜んでいらっしゃるのか」となる。
勘違いの芽が出てきた状態である。
つまりここで彼は、「自分がやってきたことは正しい」と認識するのである。
そして次に「他の社員も自分と同じことをすべきだ」となる。
つまり、理想の社員がカネと地位を得て嫌な奴に変貌したときでも、本人は依然として正しいことをしていると思っているのである。
ところがこのころになると、社長も異変に気が付く。
優秀な若手が辞めたり、売上がなんとなく落ちたりしているからだ。
社長はやむを得ず、その理想の社員から力を剥奪しなければならなくなる。
彼は何が何だか分からない。
だって自分の気持ちは1ミリも変化していないからである。
彼は、自分の部下たちに対し、かつての自分と同じようにやれと言っているだけである。
その「自分と同じように」とは、社長が褒めてくれたやり方である。
だから、自分が強権を発動したのは、社長の労務管理モデルを拡張させるためである。
自分には私利私欲はない。
そんな自分を、なぜ社長は見捨てるのかーー。
ここで注目したいのは、その勘違い君ではなく、社長の方である。
社長の仕事は、パフォーマンスを上げているのに会社への忠誠心も強く持っている社員をきちんと登用することだ。
ところがそれでは社内に不協和音が生じるのである。
ではこの社長は、どうしたらよいのだろうか。
ひとつの答えは、完全業務委託制である。
パフォーマンスにのみ、カネを支払う給与体系である。
これは極めて合理的だが、ただ、忠誠心が芽生えない。
忠誠心はときにとてつもないパワーを生み、企業を次のステージに押し上げる。
「契約上のパフォーマンスを出したから帰宅します」型の労働者にはなし得ない。
これからも成長を続けたい社長は、社員が持っている「会社のため、社長のためという気持ち」をうまくコントロールするしかないようである。
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by cwhihyou
| 2017-06-15 10:58