写経、日経社説2017.4.15

日米対話で建設的な経済関係を築け
日米政府は18日、2月の首脳会談で創設を決めた日米経済対話の初会合を開く。
副総理と副大統領というナンバー2を代表とする会議では、個別分野の通商摩擦への対処だけではなく、両国の持続的な成長につながる建設的な議論も深めてほしい。
経済対話は、「米国第一」を掲げ保護主義的傾向の強いトランプ政権の誕生を受けて、日本側が先手を打って創設を働きかけた経緯がある。
議題を個別の通商問題にしぼらず、日米経済全体を話し合う枠組み自体は評価できる。
とはいえ、協議をめぐる日米の思惑は異なる。
米国の最優先事項は2国間の貿易不均衡の是正だ。
トランプ政権は、環太平洋経済連携協定(TPP)を離脱し、貿易赤字削減という短期の成果にこだわる姿勢を鮮明にしている。
3月末には赤字削減のための大統領令を発し、先の米中首脳会談では「赤字削減100日計画」の策定で合意した。
トランプ政権の閣僚は、日本とも自動車や農産物の市場開放を求める協議をしたい意向を示している。
日本はまず、知的財産権や投資ルールも含む質の高い自由化を進めるTPPの意義を米国に粘り強く説き、復帰を求めるべきだ。
個別分野の2国間協議も、TPPでの合意事項をベースに進めるのが望ましい。
米国には、制裁をちらつかせながら圧力をかける1980年代のような強硬な交渉態度をとらないよう期待したい。
米国内のインフラ整備やエネルギー貿易など、日米で協力し相互に利益を得られる分野もある。
需要が急拡大するアジア地域でのインフラ整備に日米で取り組むなどグローバル市場での連携も有益だ。
英国の欧州連合(EU)からの離脱や、成長が鈍る中国経済、米国が進める北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉の動向など、日米間の問題だけでなく、両国にとって重要な関心事項も話し合ってほしい。
トランプ大統領は最近の米紙とのインタビューでドル高をけん制する発言をし、為替市場で円高・ドル安が進んだ。
日本政府は日米経済対話では為替問題は扱わないとしている。
かつての日米経済摩擦では、米国が貿易問題と関連付けてドル安誘導を進め、市場や国内経済に大きな悪影響を及ぼした。
日米経済関係がこのような時代に逆戻りしないように冷静な対話を求めたい。
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無人運転実現へ安全徹底を
遠隔監視システムで制御し、ドライバーが乗っていなくても走るタイプの自動運転車の実用化に向け、警察庁が公道での実証実験を広く認めることを決めた。
モニターなどで車の周囲の状況を十分把握できる。
車両との間の通信に異常があれば安全に停止する。
こうした基準を設け、これを満たした企業や研究機関に対して警察署が実験のための道路使用許可を出す仕組みにする。
自動運転が実現すれば、交通事故の大幅な減少や渋滞の解消をもたらす。
また無人運転の技術は、運送業界などでのドライバー不足を補い、過疎地での高齢者の足となる無人タクシーや無人バスの開発につながる可能性がある
警察庁によると、欧米での自動運転の実験はドライバーが乗車する方式がほとんどで、遠隔制御の事例は少ないという。
日本ではIT(情報技術)関連企業などが遠隔操作による無人運転の実用化を目指している。
公道での実証実験のルールが定められたことで、実際の交通環境の中で走行データやノウハウの蓄積ができるようになる。
開発を目指す企業などが積極的に参画し、技術の進歩が加速することを期待したい。
ただ公道実験に際して、最大の「基準」は安全の確保であることを忘れてはならない。
深刻な事故が起きれば、自動運転の普及そのものに大きなマイナスとなる。
基準案でも、事故や故障があった場合は現場に急行できる態勢をとることや、消防への実験資料の提出、地域住民への事前説明などを求めている。
当然のことであろう。
安全対策の徹底こそが自動運転への近道であることを、関係者は改めて肝に銘じてほしい。
遠隔制御で走る自動車には、通信を乗っ取られて犯罪やテロ行為などに悪用される懸念もある。
公道での実証実験などで開発を後押しすることはもちろん重要だが、将来に向けたシステムや制度上の課題について、国は検討を急ぐ必要がある。

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by cwhihyou | 2017-04-15 12:45 | Comments(0)
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