写経、日経社説2017.4.13

流通業は3つの逆風にどう立ち向かうか
主な流通業の2017年2月期の決算が出そろった。
不採算事業の縮小や付加価値の高い品ぞろえなどで業績が上向いた企業が目立つ。
しかし流通業の経営はネット通販の拡大や人手不足などにより厳しさを増している。
IT(情報技術)の活用などで生産性の一層の向上に取り組む必要がある。
セブン&アイ・ホールディングスは営業利益で最高益を更新した。
不振だったスーパー事業が不採算店の閉鎖や付加価値の高い惣菜の強化で好転した効果が大きい。
イオンもスーパー経営の改善で増収増益になった。
健康に配慮した独自ブランド商品が好調だったという。
ローソンも健康志向の商品の成功で最高益を更新した。
家具のニトリホールディングスや生活雑貨の良品計画も好決算が続く。
ニトリは大都市の百貨店に出店し、高価格帯の商品が好調だった。
今後は地方店でもこの経験を生かす。
高齢化で食やファッションの消費は全体として細るが、健康に配慮した食品や家の中を快適に整える住居関連では、付加価値の高い消費が期待できる。
ただし流通業界は3つの逆風と向き合わなければならない。
ネット通販の広がりが1つ目。
これに人手不足が人件費や物流費の高騰要因として加わる。
さらに将来不安から消費者の節約志向も続く。
一方、売り上げを下支えした外国人観光客の買い物に一時の勢いはない。
経営の構造改革や消費者の求める商品の開発に一層、力を入れるべきだ。
ネット通販が扱いにくい生鮮品や総菜は有力な柱だ。
安さ以外の価値を高めた食品の提供にも目配りしたい。
日本生活協同組合連合会では独自ブランド品の売上高の2割を、環境や健康に配慮したり、地元から調達したりした高付加価値の商品が占めている。
人手不足に対しては、高度に自動化した物流センターを建設したニトリや無人レジの実験を始めたローソンなど、新しい経営環境に対応した流通のあり方を探る動きが一部で広がりつつある。
流通・外食業界はこれまで、安い労働力が豊富にある前提でビジネスモデルを組み立ててきた。
店舗運営や物流に無駄な動きや人員がないか、厳しく点検したい。
そのうえで、従業員に過重労働を強いるのではなく、ITの活用や仕事の簡素化により、人手をなるべく使わない運営手法を編み出すべき時ではないか。
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自動車部品会社は内向き脱せ
欧米の半導体・部品メーカーが自動運転など自動車の次世代技術を持つ企業を相次いで傘下に収めている。
自動車産業が「100年に1度」といわれる転換期に入ったことが背景にある。
技術開発で自前主義が強い日本の部品メーカーも、こうした世界の流れをふまえて積極的にM&A(合併・買収)に動くべきだ。
半導体大手の米インテルは年内に、自動運転車の「目」となる画像認識システムで先行するイスラエルのモービルアイを153億ドル(約1兆6800億円)で買収する。
米クアルコムも車載半導体で世界首位のオランダNXPセミコンダクターズを470億ドルで傘下に入れる。
自動運転技術や、通信で情報を外部とやり取りする次世代車が普及すると、自動車に搭載するセンサーや半導体が飛躍的に増える。
異業種の企業も自動車分野の事業を拡大する好機となる。
歴史が長い自動車関連の企業もM&Aに積極的に動いている。
老舗タイヤメーカーの独コンチネンタルは15年間で約100社を傘下に収め、センサーなどの有力企業に成長した。
愛知県豊田市のトヨタ自動車本社近くに100人規模の拠点を構え、同社に自動ブレーキの主要部品を供供する。
日本に目を向けると、部品メーカーの動きは乏しい。
トヨタ系列の部品メーカーは再編を進めてきたが、効率化を目的としたグループ内の事業集約にほぼ終始している。
ブレーキ事業の統合に10年超を費やすなど、スピード感にも課題がある。
独立系自動車部品メーカーや、半導体・電子部品メーカーを見ても、技術の獲得を目的としたM&Aはわずかだ。
自動車もIT(情報技術)分野と同様、付加価値の源泉が部品とサービスに移る「スマイルカーブ現象」が進むとみられている。
日本企業も部品の重要性が高まることを認識し、内向きな姿勢を改めて外部から先進技術を積極的に取り込むべきだ。

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by cwhihyou | 2017-04-13 09:06 | Comments(0)
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