奇跡の宿【北海道は養老牛温泉の「だいいち」】

北海道の中標津空港には、羽田から飛行機で2時間ほど。
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そこからレンタカーを借りて1時間ほど走ると、北海道中標津町養老牛温泉に着く。
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それで「ようろううし」と読む。
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確かに酪農が多い地域なので「牛」なのだが、地名の由来は「牛」ではなくアイヌ語である。
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養老牛温泉は温泉街なのだが、箱根とか湯布院を想像してはいけない。
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養老牛温泉にはかつて3軒の宿泊施設があったが、1つは潰れていまは2つしかない。
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その2個のうち、「養老牛といえば」なのだ、「だいいち」である。
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だいいちに一度泊まると、ほかの温泉宿に泊まるのがばかばかしくなるのではないか。
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少なくとも私は、自身の慰労のための宿泊は、だいいちだけでいいと思っている。
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温泉は内風呂が10つ、露天風呂が10つ、混浴風呂が1つ、家族風呂が1つある。
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そのどれもが、源泉かけ流しである。
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源泉かけ流しとは、地中から湧いてきた温泉をそのまま湯船に入れ続け、湯船からあふれ出た温泉をそのまま捨ててしまう形態のことである。
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つまり、源泉かけ流しでない温泉宿は、湯船からこぼれた温泉を浄水機に流し、殺菌してから再び湯船に入れているのである。
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だいいちは、そんなことをせず、計22の湯船に源泉だけを入れ続けている。
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だいいちの魅力は部屋にもある。
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決して豪華とはいえないが、きちんとしている。
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そして広々。
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部屋にいることがレジャーになるので、私はいつもウイスキーを持ち込んで、漫画を読む。
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料理はAマイナスといったところ。
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決してBではないが、トリプルAには届かない。
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でもAマイナスで全然十分。
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そしてなんといっても、天然記念物のシマフクロウである。
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だいいちは環境省公認の餌付けを行っていて、シマフクロウがロビーの目の前までやってくる。
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ただこれだけでは「とても良い宿」である。
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私はここを「奇跡の宿」と呼んでいる。
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私がそこまで評価するのは、だいいちの空気感である。
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その空気感を作っているのは、多分社長さんだ。
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社長はいつも、チェックアウトの客を見送る。
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前回の宿泊のときである。
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清算を済ませた私たちは、駐車場に向かった。
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そのとき社長が玄関先で業者と立ち話をしていた。
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社長が私たちに気が付くと、彼は業者に「ちょっと待って、お客様がいらっしゃったから」と言ったのである。
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そして私たちのクルマが見えなくなるまで手を振ってくれた。
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社長がここまでやるので、従業員全員がちゃんとしている。
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いや、多分、ちゃんとはしていない。
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東京の一流ホテルの接客術から見ると、多分穴だらけなのだろう。
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でも、だいいちは日本の僻地である北海道の僻地である中標津の僻地にある。
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そこにちゃんとした社長がいて、社長をリスペクトしている従業員がいて、とても良い空気感を醸し出している。
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これを奇跡と呼ばずして何を奇跡を呼べばいいのか、である。
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by cwhihyou | 2017-02-09 09:49 | Comments(0)
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